住まいの一部を店舗や事務所に。賃貸集合住宅「商住宅 中野新橋」が2026年度グッドデザイン賞を受賞

つくる地所株式会社(本社:東京都港区)が手掛けた賃貸集合住宅「商住宅 中野新橋」が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2026年度グッドデザイン賞を受賞しました。受賞部門は小規模集合住宅です。同物件は、建築家の谷尻誠氏が企画・デザイン・プロデュースを担った新しい賃貸住宅ブランド『商住宅』の第一弾にあたります。

土間と居室を引戸で切り替える「商いのできる住まい」
『商住宅』は、住まいの一部を店舗や事務所として使える賃貸集合住宅です。玄関側に設けた土間と奥の居室を引戸で切り替えられるつくりで、仕事と生活を無理なく両立できるようにしています。個人の挑戦や営みが街とつながる、新しい都市居住のかたちを提案するブランドです。
「商住宅 中野新橋」では、1階に大きなカウンターキッチンを備えた店舗兼住宅タイプを配置しました。2階・3階には、オフィスやギャラリー、アトリエなどとして利用できるSOHOタイプの住戸を設けています。入居者の活動やライフスタイルに合わせて使い分けられる点が特徴です。
小さな商いを阻んできた「二重の賃料」と「内装投資」
リモートワークや副業が浸透し、「働く」と「暮らす」の境界は変わりつつあります。一方で、住居・店舗・事務所はこれまで用途ごとに分かれていました。そのため、個人が小さく商いを始めようとすると、二重の賃料負担や内装投資などのハードルがありました。
そこでつくる地所は、不動産を単なる居住の器ではなく、個人の挑戦を地域の文化やコミュニティ形成につなぐ基盤として捉え直しました。今回の計画は、住まいを個人の挑戦や地域との接点が生まれる拠点へ変える試みとして実現したものです。

審査委員の評価と関係者のコメント
審査委員が注目したのは、敬遠されがちな集合住宅の1階を長屋形式の店舗兼用住宅とし、引き戸一枚で商いと暮らしを切り替えるという明快な構成です。この構成が参入障壁を下げて職住一体の生活を可能にし、小規模な商いが並ぶ独特の賑わいを生み出したと評価されました。また、通常のテナントにはない、一体にデザインされたキッチンやカウンターについても、入居者にとって魅力となろうと述べています。2階・3階でも住居と事務所の組み合わせなどさまざまな使い方が想像され、建物全体として多様な新しい都市型の生活が営まれることが想像される、という評価でした。
プロジェクトでは、谷尻誠氏が率いるOffice yoh株式会社が企画・コンセプト立案と建築デザインの監修を担当し、住まいと商いの新しい関係を建築と不動産の両面から提案しています。谷尻氏は、建築の役割は建物をつくるだけでなく、新しい暮らし方や社会の仕組みをつくることだと語ります。そのうえで商住宅を、住みながら小さく商いを始められる環境をつくり、入居者には新しい暮らしの選択肢を、オーナーには賃貸経営の新たな価値を、街には人の営みから生まれる賑わいをもたらす試みだと説明しました。さらに、かつて当たり前にあった住まいと商いの関係を現代に置き換え、建築と不動産の可能性を広げる取り組みが評価されたことを大変うれしく思う、とコメントしています。
つくる地所の代表取締役・山﨑聡史氏は、建物そのものだけでなく、その土地でどのような暮らしや営みが生まれるかを考えて形にすることを大切にしていると話します。「商住宅 中野新橋」については、住まいの一部を商いの場として街にひらく賃貸住宅だと紹介しました。建築家の谷尻誠氏やOffice yoh株式会社をはじめとするパートナーとともに実現できたことをうれしく思うと述べ、今回の受賞を励みに、住まいから人と街の新たなつながりを生む開発に取り組んでいく考えを示しています。

「商住宅 中野新橋」物件概要
- 受賞部門:小規模集合住宅
- 所在地:東京都中野区弥生町2丁目12-1(東京メトロ丸ノ内線「中野新橋」駅 徒歩3分)
- 規模:地上3階建て・全11戸(店舗併用長屋3戸、共同住宅8戸)
- 延床面積:365.53㎡
- 竣工時期:2025年9月
- 発案・プロデュース:谷尻 誠
- 設計:基本設計・デザイン監修 Office yoh株式会社/実施設計 YURAGI ARCHITECTS
- 施工:株式会社FUJIKEN
つくる地所は1978年2月に設立され、東京都港区六本木の泉ガーデンタワーに本社を置く企業です。不動産開発と不動産投資を手掛けており、トグルホールディングス株式会社を親会社に持ちます。「土地をつくる、まちをつくる、ともにつくる」をミッションに掲げています。


