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大牟田の土地家屋調査士事務所が「民間等電子基準点A級」に登録 RTK補正データを登録不要・無償で公開

大牟田の土地家屋調査士事務所が「民間等電子基準点A級」に登録 RTK補正データを登録不要・無償で公開

福岡県大牟田市の桜町測量(溝田・佐野土地家屋調査士事務所)が設置・運営するGNSS(衛星測位システム)の連続観測局「桜町電子基準局」が、2026年9月1日、国土地理院の「民間等電子基準点A級」に登録されました。桜町測量の調べでは、国土地理院の公表登録簿で確認できる範囲において、個人事務所を申請者とするA級登録は初めてです。この調べは、2026年9月1日付の更新情報と同年10月6日更新のA級登録簿に基づくもので、2026年10月27日に確認されています。

観測局には、ビズステーション株式会社の「Drogger」が採用されています。2026年10月15日からは、高精度な位置測定に使えるRTK補正データを、利用登録不要・無償で公開しています。大牟田市、荒尾市をはじめとする有明地域の建設、測量、スマート農業などでの活用を目指しています。

桜町電子基準局に設置したGNSSアンテナ「HX-CGX624A」。
桜町電子基準局に設置したGNSSアンテナ「HX-CGX624A」。

全国344点のA級、申請者は5者

国土地理院の2026年10月6日更新の登録簿によると、全国の登録点は計2,950点で、そのうちA級は344点(約11.7%)です。ソフトバンクとNTTドコモの2社が登録する計2,913点に限ると、A級が339点(約11.6%)、B級が2,574点(約88.4%)です。この数値はソフトバンク(A級90点・B級2,175点)とNTTドコモ(A級249点・B級399点)の合計で、各社それぞれの割合ではありません。

同じ更新時点でのA級の申請者は、公益社団法人日本測量協会、ソフトバンク株式会社、株式会社NTTドコモ、九州電力株式会社、桜町測量の5者です。A級は、国土地理院が「土木及び建築工事に活用可能な信頼性を確保、地殻変動監視にも活用可能」と位置付ける性能区分です。使用機器だけでなく、国家座標への準拠、設置環境・構造、連続観測データの品質などについても基準が定められています。

Androidアプリ「Drogger-GPS」の衛星受信状況表示。衛星の配置や信号強度を確認できる。
Androidアプリ「Drogger-GPS」の衛星受信状況表示。衛星の配置や信号強度を確認できる。

機器から運用までそろう「Drogger RTK エコシステム」

観測局では、3周波GNSS受信機「RZS.D」と高精度チョークリングアンテナ「HX-CGX624A」を組み合わせて使っています。この組み合わせは、国土地理院の1級GNSS測量機(登録番号:235)として登録されています。Droggerの魅力は、導入しやすい価格帯の機器に加えて、観測からデータの活用、日々の運用までを支えるソフトやサービスがそろっている点にあります。

  • 設定・観測:Androidアプリ「Drogger-GPS」
  • 解析:観測データを後処理する「Drogger Processor」
  • 配信:受信機内蔵のNtrip Server機能と中継サービス「Drogger Ntrip Caster」
  • 監視:基準局からの通信停止・回復を知らせる監視メール

対応製品のユーザーは、解析ソフトのPersonalライセンスや、配信・監視サービスなどを無償で利用できます。ただし、無償で提供されるかどうかは対応製品の利用条件によります。Drogger ProcessorはPersonalライセンスの範囲で無償となり、検定書出力など一部の機能は有償です。通信料や電気料金なども別途必要です。配信サーバーや監視システムを自前で構築・管理する負担を抑えられることが、個人事務所による継続運用と、地域への無償公開を支えています。

同じDrogger Ntrip Casterの配信環境は、静岡県が整備した21局のGNSS基準局でも活用されています。同県は2026年7月から、補正情報を問い合わせ不要・無償で提供しています。なお、静岡県の事例は配信サービスの活用を示したもので、受信機・アンテナが同じ製品であることを示すものではありません。

現場でのGNSS測量機の利用イメージ(写真はDrogger RWX)
現場でのGNSS測量機の利用イメージ(写真はDrogger RWX)

一度は登録に至らず、機器を更新して再挑戦

桜町測量がこの取り組みを始めたきっかけは、2023年にDrogger RZS.Dが発売され、1級GNSS測量機に登録されたことでした。初回の申請では登録に至りませんでした。その後、2025年にHX-CGX624Aが対応アンテナとして登録対象に加わったことを受けて、機器を更新して再挑戦しました。ビズステーション株式会社からは、観測データの取得方法や品質確認について技術的な助言を受けました。そのうえで、設置環境の改善、停電・落雷対策、長期間の連続観測と品質確認を重ね、A級登録に至りました。

桜町測量の溝田智司氏は、個人事務所にとっては導入後の費用と日々の管理の手間も重要だと話します。そのうえで、機器の価格が明確であることや、1級GNSS測量機「RWP」が10万円を切る価格で発売されたことなど、導入しやすさも魅力に挙げています。ソフトやサービスを含めて費用の見通しを立てやすく、管理の負担も抑えられるエコシステムが継続運用を支えている、とも述べています。

建設・測量・農業の現場で使える補正データ

この観測局の補正データは、対応するGNSS受信機と通信環境を用意すれば、良好な衛星受信環境などの条件の下で、センチメートル級のリアルタイム測位に利用できます。想定している用途は、ICT施工、土地・建物の調査測量、UAV測量、スマート農業、災害復旧、研究・教育などです。接続に必要な設定情報は、桜町測量のウェブサイトで公開されています。この取り組みは、2026年10月15日付の地元紙「有明新報」の一面でも紹介されました。

  • 級別分類:民間等電子基準点A級
  • 所在地:福岡県大牟田市桜町132番地
  • 設置・運営:桜町測量/溝田・佐野土地家屋調査士事務所
  • GNSS受信機:Drogger RZS.D
  • GNSSアンテナ:HX-CGX624A
  • 対応衛星:GPS、みちびき(QZSS)、GLONASS、Galileo、BeiDou
  • 対応信号:GPS:L1C/A・L2C・L2P・L5、みちびき(QZSS):L1C/A・L1C/B・L2C・L5、GLONASS:L1CA・L2CA・L3 CDMA、Galileo:E1・E5a・E5b・E6、BeiDou:B1I・B2I・B3I
  • 提供方式:NTRIP方式(RTCM3.2メッセージ1005、1075、1085、1095、1115、1125、1230)
  • 利用料金:無料
  • 利用登録・申込み:不要
  • 主な利用想定地域:大牟田市、荒尾市および周辺地域

測位精度や利用できる範囲は、使用するGNSS受信機、衛星配置、上空視界、周辺環境、観測局からの距離、通信環境などによって異なります。公共工事や公共測量などで使用する場合は、適用される基準・要領、作業規程、仕様書、発注者との協議内容などの確認が必要です。桜町測量は大牟田市を中心に、土地・建物の表示に関する登記、確定測量、境界調査、GNSS測量、UAV測量、3次元データ作成などを手がけています。

出典:桜町測量