戸建住宅の約3割は太陽光パネルの設置が困難とされる? 設置できる屋根・できない屋根の違い

アイチューザー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:廣瀬 彬)は、太陽光パネル・蓄電池の共同購入事業『みんなのおうちに太陽光』を運営しています。この事業は現在、全国24都道府県で展開されています。同社は、自宅の屋根に太陽光パネルを載せられるかどうかを左右するポイントについて、解説を公開しました。
日本政府は、2050年までにCO₂排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目標に掲げています。環境省の調査結果によると、2023年度(令和5年度)の1世帯当たりの年間CO₂排出量(電気・ガス・灯油の合計)は2.47トンでした。このうち電気の使用に伴う排出量は67.6%を占めています。そのため、家庭のCO₂排出量を減らすうえでは、電力使用による環境負荷の低減が重要な課題とされています。
電力使用に伴うCO₂排出量を削減する有効な手段の一つが、太陽光パネルの導入です。ただし、日本国内には約2,800万戸の戸建住宅がありますが、太陽光パネルを設置できる住宅は約6割にとどまります。約3割の住宅では、屋根の形状や構造などの制約によって設置が困難とされています。こうした状況から、まずは住宅ごとの設置条件や適性を把握することが重要になります。同社サプライヤーマネージャーの鳥畑 弦太氏は、設置できる屋根と難しい屋根の特徴を、具体的な事例を交えて解説しています。要点は次のとおりです。
- 屋根の築年数や構造、屋根材によっては設置が困難な場合がある
- 屋根の向きや周辺環境も設置の可否に影響を及ぼす
- 技術の進歩により、設置の選択肢が広がりつつある

構造・屋根材・形状で設置が難しくなる屋根
一つ目は、築年数が古く構造が弱い屋根です。こうした屋根は太陽光パネルなどの荷重に耐えられず、家屋が歪むなどのリスクがあります。一般的な住宅用太陽光パネルには強化ガラスやアルミフレームなどが使われており、1枚あたりの重量は約20kgです。例えば出力4kW相当のパネルを設置する場合、パネル本体の総重量は約200kgになります。さらに架台や固定金具などを含めると、約250~300kgに達する場合があります。
ただし、パネルの重量は屋根全体に分散されるため、必ずしも建物に過度な負担がかかるわけではありません。4kW相当のパネルを約20㎡の屋根に設置した場合、1㎡あたりの荷重は約12.5~15kgになります。この試算は、パネル1枚あたりの重量を約20kg、出力を400W、架台・固定金具などの重量を1枚あたり約5~8kgとしたものです。実際の重量は、製品や屋根材、施工方法によって異なります。設置できるかどうかは築年数だけでは判断できず、屋根材や建物の構造、劣化状況などを踏まえた確認が必要です。
二つ目は、粘土瓦屋根で、特に和瓦や釉薬瓦が該当します。これらの屋根は作業中に瓦を踏み割るリスクが高いのが特徴です。施工には高度な技術に加え、瓦に穴を開けずに架台を固定する特殊金具などの特殊な工法が求められます。そのため対応できる施工業者が限られ、設置できない場合があります。工事費用も高くなります。
三つ目は、急勾配(傾斜が急)または寄せ棟・入母屋などの複雑な形状の屋根です。勾配が6寸勾配/約30度以上と急な場合は、施工時に屋根足場の設置などが必要になり、工事費用が上がります。また、作業の危険性を理由に、施工そのものを断られる場合もあります。

屋根の向きや周辺環境による制約と、広がる選択肢
屋根そのものだけでなく、周囲の環境も設置の可否に影響します。例えば、北向きの屋根、近隣の建物によって日陰ができる屋根、面積が極端に小さい屋根などです。こうした屋根では十分な発電量を確保しにくく、設置条件を確認する段階で設置が困難と判断される場合があります。さらに北向きの屋根では、パネルの反射光が近隣住宅に影響を及ぼす可能性があるため、設置には慎重な検討が必要です。
一方で近年は、面積あたりの発電量が高く、狭い屋根でもしっかり発電できる「高効率パネル」が普及しています。また、光の反射を抑えて近隣への光害(ひかりがい)トラブルを防ぐ「防眩(ぼうげん)パネル」も使われています。これらのパネルを採用したり、蓄電池を併用して自家消費の効率を高めたりすることで、都心部の住宅密集地でも上手に太陽光を取り入れる家庭が増えています。
解説者と「みんなのおうちに太陽光」について
解説を担当した鳥畑 弦太(とりはた げんた)氏は、2024年にアイチューザーに入社しました。「みんなのおうちに太陽光」の事業運営では販売施工事業者との連携推進を担い、住宅から法人施設まで幅広い分野で太陽光パネルの導入を支援しています。「みんなのおうちに太陽光」は、自治体と連携して太陽光パネルや蓄電池の共同購入を行い、家庭への再生可能エネルギー導入を後押しする事業です。単に集まって安く買う「まとめ買い」とは異なり、事務局が消費者に代わって施工事業者と製品を選定します。参加者はその内容を確認したうえで、設置するかどうかを自由に選べます。アイチューザー株式会社は、オランダ・アムステルダムに本社を置くiChoosr Ltd.の日本法人で、2017年に設立されました。2019年から始めた住宅用・事業者向けの太陽光パネル・蓄電池の共同購入事業では、累計13万世帯を超える参加登録を集めています。
出典:アイチューザー株式会社


