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建設業の人手不足、土木施工管理職の有効求人倍率は約16倍 「減らさない」と「増やす」の両輪で2030年へ

建設業の人手不足、土木施工管理職の有効求人倍率は約16倍 「減らさない」と「増やす」の両輪で2030年へ
日本建設業連合会・山本専務理事(写真左)/日刊建設工業新聞・横川編集局長(写真右)
日本建設業連合会・山本専務理事(写真左)/日刊建設工業新聞・横川編集局長(写真右)

建設技術展2026関東で、建設業の人材戦略を議論

10月21日(水)、「建設技術展2026関東」で、建設ディレクター協会が主催するパネルディスカッション「2030年の建設業をつくる人材戦略〜多様な人材が力を発揮できる建設業への変革〜」が開かれました。株式会社クイック(本社:東京都港区、代表取締役会長:川口一郎)は、業界・職種に特化した転職エージェント「アンドプロ」を運営しています。同社で建設・不動産業界領域のブランディングマネージャーを務める箕輪真人氏も、登壇者の一人として参加しました。

進行役は、日刊建設工業新聞社の常務取締役編集局長、横川敦氏です。パネリストは箕輪氏のほか、日本建設業連合会(日建連)の山本悟司専務理事と、建設ディレクター協会の新井恭子理事長の計3人でした。建設業界の深刻な人材不足の現状と、多様な人材が活躍できる持続可能な環境づくりについて、それぞれの立場と視点から分析と提言を行いました。

建設ディレクター協会・新井理事長(写真右)
建設ディレクター協会・新井理事長(写真右)

求職者側から見た「異次元の超売り手市場」

セッションの冒頭では、箕輪氏が業界の採用課題について現状を報告しました。箕輪氏は、人材紹介業の立場で20年以上にわたり建設業界を担当してきた人物です。報告によると、建設業界全体の有効求人倍率は約7倍、土木施工管理職では約16倍にのぼり、「異次元の超売り手市場」になっているといいます。

山本専務理事は、建設投資と就業者数の動きを示しました。一時低迷していた建設投資は年76兆円規模まで急回復し、ピーク時の84兆円近くに迫っています。一方で就業者数は約3割減少しており、人手不足が深刻になっていると指摘しました。さらに、現場責任者の半数以上を50代以上が占めるなかで30〜40代の中堅層が抜け落ちており、世代交代が危機に直面していると問題を提起しました。

箕輪氏は、人手不足の背景として、企業が経験者の採用にこだわりすぎている点を挙げました。その結果、業界内で経験者を奪い合うだけで人材の総量が増えない「ゼロサムゲーム」に陥っていると補足しました。人手不足が労働環境の悪化と離職を招く悪循環を断ち切るには、既存の人材を「減らさない」ことと、新規入職者を「増やす」ことの両輪をやり切る覚悟が何より大切だと述べました。

建設業の人手不足、土木施工管理職の有効求人倍率は約16倍 「減らさない」と「増やす」の両輪で2030年へ

建設ディレクターが「減らさない」と「増やす」の両方に寄与

新井理事長は、人手不足を解消する有効な手段として、建設ディレクターの役割を紹介しました。施工管理技術者などが抱えている書類作成などの事務業務を、建設ディレクターが切り出して引き受けます。これにより技術者は現場のコア業務に専念できるようになり、離職の主な理由となっている長時間・過密労働の改善につながっていると強調しました。

建設ディレクターの資格取得者は、これまでに全国で約4000人にのぼり、そのうち3000人は建設業の未経験者です。箕輪氏は転職エージェントの立場から、建設ディレクターの導入には二つの効果があると付け加えました。未経験者という新しい層を業界に呼び込む「増やす」効果と、施工管理者の労働環境を改善して人材を引き留める「減らさない」効果です。

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持続可能な建設業に向けた4つの提言

箕輪氏は、負のスパイラルを好循環に変えていくため、採用する企業側と転職を希望する人の側、双方の視点を踏まえて次の4点を提言しました。

  • 変革を積極的に発信する:建設ディレクターやシニア人材の導入などで労働環境を改善している企業は、その事実を外部へ積極的に発信する。そうすることで採用が強化され、業界自体の発展にも寄与できる。
  • 採用ターゲットを広げる:経験者の奪い合いから抜け出し、シニア人材、文系出身者、リスキリングを前提とした未経験者の採用など、採用の間口を広げる。それが中長期的な事業成長につながる。
  • 越境人材を活用する:社会の変化に柔軟に対応するため、異業界から「越境人材」を登用する。それがポートフォリオの多角化や組織の柔軟性を育む。
  • 建設業そのものをブランディングする:建設業の「一品一様のモノづくり」の尊さや楽しさをSNSなどで積極的に発信し、ブランディング化していく。それによって業界全体の人材確保に努める。

そのうえで箕輪氏は、「『減らさない』と『増やす』の両輪を愚直に回し続けることが、2030年への正しい道だと思う」と重ねて述べました。山本専務理事は、深刻な技術者不足を打開する有効な策として多様な人材の活用を挙げ、業界全体で魅力ある産業を目指す姿勢を強調しました。新井理事長は、個人の負担に頼る現場から、AI・デジタル化の推進も担いつつ「組織・チームで支え合う体制」へ移行していくべきだと指摘しました。

最後に、ファシリテーターの横川編集局長が「発注者・受注者・制度が一体となって変わっていかなければならない」と指摘しました。そして、建設ディレクターが体現する「技術者・産業・社会の今と未来をつなぐ」という方向性こそが、これからの建設業に求められていると総括しました。

出典:株式会社クイック